
先生、ネイティブが「ワッタイム?」って言うの、「What time?」のtが完全に消えてません?文字にあるのに音がない…

それが今日のテーマ、リダクション(脱落)。文字にはあるのに、音としてはほぼ消える現象だよ。
「単語は知ってるはずなのに、ネイティブの英語は半分しか聞こえない」――その正体のもう半分は、リダクションです。
この記事では、リダクションの仕組みと3つの基本パターン、そしてネイティブが日常で使う省略形まで、5分で解説します。
― Let’s dive in! ―
📖 発音記号(IPA)が分からない方へ:本記事では /ə/ /wʌt taɪm/ のような発音記号を使います。発音記号(IPA)早見表 をブックマークして、分からない記号が出てきたら見返してください。一気に覚えなくてOK、出てきたものから少しずつ慣れていけば必ず読めるようになります!
📝 7時間目スタイル:本記事の発音表記はIPAがメイン。カタカナは音のあくまで参考です。本当の音はIPAから読み取ってください。
リダクションって何?

音が消えちゃうんですか…ますます聞き取れる自信なくなりました…

完璧に聞き取らなくていいんだ。リダクションは 「ある音を弱く・短く・あるいは完全に消す現象」で、3パターンだけ押さえれば9割は分かるようになるよ。
たとえば「What time is it?」(今何時?)。
❌ 日本式:What time is it?「ワット・タイム・イズ・イット」(一語ずつはっきり)
✅ ネイティブ:What time is it? ⇨ /wʌt/ + /taɪm/ + /ɪz/ + /ɪt/ ⇨ /wʌtaɪmɪzɪt/(最初のtが消える)
これが起きるのは、英語が「強く言うところ」と「弱く言うところ」のメリハリで成り立っているから。文の意味に直接関係しない音は、ネイティブはほぼ発音しません。
リダクションを知らないと、ネイティブの英語は「単語が半分しか聞こえない」状態になります。逆にルールを知れば、「消えてる音はこれだ」と先回りで補えるようになります。
3つの基本パターン

消える音って、ランダムなんですか?

ちゃんとパターンがある。3つだけ押さえれば、ほぼカバーできるよ。
① 単語の最後の音(とくに t / k / p)が消える
p / b / t / d / k / g(破裂音)が単語の最後に来て、次の単語が子音で始まると、その破裂音はほぼ聞こえません。口の構えだけして、音を出さない感覚です。
- what time(何時?) /wʌt taɪm/ → /wʌtaɪm/
(カタカナ参考:ワッタイム) - good day(いい日) /ɡʊd deɪ/ → /ɡʊdeɪ/
(カタカナ参考:グッデイ) - black coffee(ブラックコーヒー) /blæk kɑːfi/ → /blækɑːfi/
(カタカナ参考:ブラコーフィー) - help please(助けて) /help pliːz/ → /helpliːz/
(カタカナ参考:ヘップリーズ)
② 短い単語が「弱く・あいまい」に発音される(to / of / for など)
and / of / to / for / but のような文の中で軽く発音される短い単語は、母音が /ə/(シュワ)に弱まって、ほぼ聞こえなくなります。
- and /ænd/ → /ən/ or /n/
(例:rock and roll → /rɑːkənroʊl/ ロッケンロール) - of /ʌv/ → /ə/
(例:sort of → sorta /sɑːrɾə/ ソーラ) - to /tuː/ → /tə/
(例:have to → /hæftə/ ハフタ) - for /fɑːr/ → /fər/
(例:looking for → /lʊkɪŋfə(r)/ ルッキンファ・rはほぼ聞こえない) - but /bʌt/ → /bə/
(例:but I → /bət aɪ/ バタイ)
③ him / her / them の h が消える
him / her / them のような代名詞は、文中で h が完全に消えることがほとんど。前の単語の語尾とくっついて、別物に聞こえます。
- ask him(彼に聞く) /æsk hɪm/ → /æskɪm/
(カタカナ参考:アスキム) - tell her(彼女に言う) /tel hɝː/ → /telɚ/
(カタカナ参考:テラー) - got them(それらを持ってる) /ɡɑːt ðem/
→ /ɡɑːðem/(ガッ・ゼム)— 標準的・丁寧
→ /ɡɑːɾəm/(ガラァム)— カジュアル・速い
どちらもよく使われる発音
💡 「got them → ガッエム」の中の /ɾ/ はフラッピング(tがdっぽくなる現象)です。リダクションとフラッピングはほぼ同時に起きるので、フラッピング解説記事とセットで読むのがおすすめ。
ネイティブが使う省略形(カジュアル)
リダクションが進むと、文字としてもそのまま省略形で書かれるようになります。映画・ドラマ・SNSで毎日見る形ばかり。
「正式な発音 → カジュアルな省略形」のセットで覚えるのがおすすめ:
- want to
/wɑːnt tuː/→ wanna /wɑːnə/
例:I wanna go.(行きたい) - going to
/ɡoʊɪŋ tuː/→ gonna /ɡʌnə/
例:We’re gonna win.(勝つよ) - got to
/ɡɑːt tuː/→ gotta /ɡɑːɾə/
例:You gotta try.(やってみなよ) - have to
/hæv tuː/→ hafta /hæftə/
例:I hafta work.(働かなきゃ) - kind of
/kaɪnd əv/→ kinda /kaɪndə/
例:I’m kinda busy.(ちょっと忙しい) - sort of
/sɑːrt əv/→ sorta /sɑːrɾə/
例:It’s sorta cool.(けっこういい) - out of
/aʊt əv/→ outta /aʊɾə/
例:I’m outta here.(もう行くね) - let me
/let miː/→ lemme /lemi/
例:Lemme see.(見せて) - give me
/ɡɪv miː/→ gimme /ɡɪmi/
例:Gimme that.(それちょうだい) - don’t know
/doʊnt noʊ/→ dunno /dənoʊ/
例:I dunno yet.(まだ分からない)
⚠️ 省略形はカジュアル限定。仕事のメールや初対面の人との会話では、ちゃんと want to / going to と書く・言うのが基本です。「聞き取れる」「言える」は別の話。
実例で耳を慣らす(リダクション7選)
2語くらいの短い組み合わせで、リダクションが起こるよくある例です。
- tell him(彼に言って) /tel hɪm/ → /telɪm/
(カタカナ参考:テリム・h脱落) - ask her(彼女に聞いて) /æsk hɚ/ → /æskɚ/
(カタカナ参考:アスカー・h脱落) - next door(隣) /nekst dɔːr/ → /neksdɔːr/
(カタカナ参考:ネクスドア・t脱落) - good night(おやすみ) /ɡʊd naɪt/ → /ɡʊnaɪt/
(カタカナ参考:グッナイ・d脱落) - must be(〜のはず) /mʌst biː/ → /məsbiː/
(カタカナ参考:マスビー・t脱落) - could you(〜してくれる?) /kʊd juː/ → /kʊdʒə/
(カタカナ参考:クッジャ) - would you(〜してくれる?) /wʊd juː/ → /wʊdʒə/
(カタカナ参考:ウッジャ)
実際のネイティブ発音で聞いてみよう
文字で理解しただけでは、リダクションは聞き取れるようになりません。実際にネイティブが話す音をどう聞こえるか確かめるのが一番早い。下の動画は、リダクション・リンキングがたっぷり入った日常フレーズ10個を、ネイティブ音声+解説でまとめたものです。

「あ、ここのtが消えた!」「今のtoがほぼ聞こえない!」って気づきながら何度も聞いてみてね。
まとめ
- リダクションは「ある音を弱く・短く・消す現象」
- リダクションのパターンは3つ:
- ① 単語の最後の音(とくに t / k / p)が消える
- ② 短い単語が「弱く・あいまい」に発音される(to / of / for など)
- ③ him / her / them の h が消える
- カジュアルでは wanna / gonna / gotta のように省略形として書かれる
- リンキングと一緒に起きるので、リンキング記事とセットで読むと理解が深まる

一気に覚えなくてOK。「あ、今のh消えた」「今のtoはトゥじゃなくてタだった」って気づくところからスタートしよう!

